コンテスト

常総きぬ川花火大会2010・花火写真コンテスト

開 催 日:2010年8月21日(土)
審 査 日:2010年10月1日
応募者数:60名
応募点数:103点
審 査 員:小野里公成[花火写真家]

講 評

今年は風向きの兼ね合いから、鬼怒川下流側が撮影条件的には若干有利に働いたようです。全体としてはやはり見栄えの華やかな花火リュージョンからの作品が多かったと思いますが、ほぼまんべんなく全プログラムの中から作品が集まりました。審査結果もなるべく色々なシーンが揃うように心がけています。
同じ花火大会を多数の方がほぼ同じ場所から撮るのですから、良いと思われる瞬間も似たようなものになり、応募作でも同じ瞬間を捉えた作品が多数寄せられます。僅差の中に優劣が生まれますが、主にタイミングと発色を重点的に見ています。撮影場所も作品のうち、という点では独自のアングルも高ポイントといえるでしょう。
デジタルカメラの時代になり、撮影から現像、プリントまで全て撮影者が納得のいくコントロールができるようになっています。それだけに最終的にプリントされた作品は従来より撮影者の意図がストレートに出るわけで、むしろ作品作りは全工程が撮影者の腕次第という難しい時代になったのかもしれません。花火撮影に長けて経験も豊富な花火撮影愛好家と、普通の写真愛好家、ビギナーあるいは写真撮影の経験自体が浅いクラスと応募作品のグレードは分かれています。上位は接戦で選ぶにあたり僅かの違いを見いだすのが大変でした。
参加することに意義は在るのですが、ピンぼけやブレ、水平が取れていない、など花火を撮影する以前の写真撮影の基礎や、PCを使用してのデータ処理やプリントがまだまだという残念な応募作もみられます。カメラに習熟し、このコンテストの入選作やインターネット上でより多くの優れた花火写真をご覧になり今後の参考にされると良いと感じました。

推薦

茨城県知事賞

「夏空の競演」

片野 通明(常総市)

寸評

花火リュージョンをダイナミックに切り取って、タイミング、花火の散り具合など素晴らしい瞬間を得られたと思います。全体から活き活きと躍動感を感じ、豊水橋が生み出すスケール感や鬼怒川への美しい映り込みなど、狙い通りの結果ではないでしょうか。欲を言えばもう僅かでも上部が多めに入っていたらパーフェクトだったと思います。

特選

茨城県議会議長賞

「きぬ川幻想花」

久保田 正史(佐世保市)

寸評

このシーンの応募は少なく、その中で写真的には的確な技術に裏付けられて、構図の切り方、露出、タイミングなど全て素晴らしい出来だと思います。推薦との差はほとんどありませんが、銀(白)の出が抑えめだったのとこの花火大会を代表するには少し大人しい瞬間だったかな、という印象です。

準特選

茨城県商工労働部長賞

「まわれ!風車」

成島 正人(守谷市)

寸評

正面から撮った花火リュージョンのお手本のような写真となりました。地上の扇展開と、中段、上部の玉と全てが欠けたり、中途半端になったりせず、素早い流れの中で捉えるのは難しいものですが、この作品ではうまく揃った一瞬をモノにされたと思います。

準特選

茨城県観光物産協会長賞

「スペクタクルな夜」

藤野 芳正(館林市)

寸評

花火リュージョンの一場面で、なにより花火を活き活きと綺麗な発色で捉えている点が選出ポイントです。画面下部がぎりぎりで少し窮屈かな、という感じですが、そのぶん一歩開花に踏み込んでいるわけで迫ってくる感じが好印象です。

入選

常総市長賞

「天空の大輪」

森平 栄(坂東市)

寸評

ただ1発の開花だけを撮る、というのは実は難しいものです。プリント作品にした時の画面への収まり具合、大きさ、周りの空間の開き具合で、その玉の本来の迫力や魅力が活かされたりそうでなかったりするからです。この作品では良いバランスで配置され開花の時のエネルギーがそのままに伝わってきています。色合いも綺麗に出来上がりました。

常総市議会議長賞

「鬼怒の彩り」

鈴木 孝(古河市)

寸評

メインの裏側からの狙いと思います。全体に横幅のある展開の打上を縦位置で思い切りよく切り取って成功しています。開花もリズミカルに配置される結果となり、画面の左右や上方向にも花火がさらに続いて行くかのようなダイナミックさがポイントです。夜店群もスケールを感じさせるに一役買っています。

常総市教育委員会教育長賞

「初秋の鬼怒に白銀の舞」

穴原 志朗(足利市)

寸評

今回特別プログラムのメロディースターマインですが、以外と応募作自体もさらに的確に撮っている作品も少なく意外でした。この作品はその中でのクライマックス「光の宝石」を見事に捉えています。全体のボリューム感もほぼ適切でこれより多くても少なくてもまとまらなかったでしょう。画面下部の鬼怒川への映り込みも効いています。

常総市観光協会長賞

「紫の共演」

奥村 高歩(坂東市)

寸評

対打ちで上がる玉をどう撮るかは悩みどころですが、並んで咲く開花を横位置でうまく収めました。正面近くから撮って高さが揃っているこの場合、この判断はアリだと思います。星の発色も美しくこの玉の良い点を上手く掴まえたと感じます。

常総きぬ川花火大会会長賞

「セピアの花壇を仰ぎ見て」

吉澤 裕義(松本市)

寸評

和火を中心としたこのプログラムは、それまでの流れと露出も違ってくるので、的確な絞りと露光時間で「肉眼で見ているように」撮るのはなかなか経験が必要です。作者はそうした経験を積まれて難しい瞬間を上手に捉えており、構図も的確でした。最大輝度の雷の不意打ちにもうまくこらえたと感心しています。

審査員特別賞

「真夏の競演」

倉田 憲夫(守谷市)

寸評

プリント時の特殊な処理なのか、撮影時の感度が高すぎたのか不明ですが、花火以外の部分に粒子の荒れとも違った模様が浮いているのが気になります。しかし、花火写真自体は構図もタイミングもキマッていますので絵としての良さを評価しました。

「歓喜の宴」

石田 亜希(仙台市)

寸評

狙ったのか、これが精一杯の近さだったのかとにかく花火に迫ってダイナミックです。撮影に慣れていくとなかなかこのように思い切ったアップでは撮れなくなってしまうものです。発色にやや難があり今後の課題と思いますが、この思い切りの良い構図が持ち味です。